
結論:直請けは「目的」ではなく、報酬と裁量を最大化するための手段
「直請け=正義」「商流は浅いほど良い」と語られがちですが、実務ではもう少し整理が必要です。
直請け・元請直の本質は、中間マージンが減り手取りが上がること、そして情報と決裁の距離が近くなることにあります。
ただしその分、求められる自走力・責任も上がります。この記事では、言葉の定義の違いから、単価差が生まれる構造、直案件の注意点、獲得のための判断基準までを実務目線で解説します。
「エンド直請け」と「元請直(プライム直)」の違いとは?
混同されやすい2つを、まずは定義で分けます。どちらも「商流が浅い」側ですが、相手が誰かが決定的に違います。
エンド直請け(事業会社直)とは
Webサービス企業、SaaSベンダー、一般企業のDX部門など、システムを利用する**事業会社(エンド企業)**と直接(またはエージェント1社のみを挟んで)契約する形態です。
- 自社サービス開発や内製DXに近い案件が多い
- アジャイル寄りで、意思決定が早い傾向
- 技術選定・改善提案の余地が大きいこともある
元請直(SIer直 / プライム直)とは
大手SIerやコンサルなど、エンド企業から開発を一括受託している**プライムベンダー(元請け)**と直接(またはエージェント1社のみを挟んで)契約する形態です。
- 官公庁・金融・製造などの大規模案件が多い
- 手順・レビュー・ドキュメントなど「お作法」が重視されやすい
- ベンダー間調整や体制運営の要素が増えがち
「エージェント経由の直請け」は何が“直”なのか
フリーランスの現実として、**完全な直契約(エンド企業と個人が直接契約)**は与信・支払いサイト・契約実務の観点で難しいケースがあります。
そのため、市場で言う「直請け」は多くの場合、次のような状態です。
- 実質直:エンド(または元請) → エージェント1社 → あなた
- 直っぽい:エンド(元請) → グループ会社 → エージェント → あなた(実質二次・三次)
- 商流深め:エンド → 元請 → 二次 → 三次 → あなた
重要なのは「言葉」ではなく、間に何社入っているかです。
商流を浅くするメリット:単価と裁量の真実
手取り(単価)はどれくらい変わるのか?
商流が深いほど、各階層でマージンが積み重なります。例として「エンドが月120万円で発注している枠」を想定します。
| 例 | 商流イメージ | エンジニア側の着地 |
|---|---|---|
| 実質直(エージェント1社) | エンド→エージェント→あなた | 90〜105万円程度になりやすい |
| 二次請け | エンド→元請→エージェント→あなた | 75〜90万円程度になりやすい |
| 三次請け以降 | エンド→元請→二次→三次→あなた | 60〜75万円程度になりやすい |
同じ案件でも、商流が1段浅くなるだけで月10〜20万円の差が出ることがあります。年収換算では120〜240万円の差になる計算です。
裁量と情報の透明性が上がる
商流が深いと、伝言ゲームになりやすく「背景が分からないまま作業だけする」状態になりがちです。
直案件側では、PM・PdM・事業責任者に近くなりやすく、次の経験が積みやすくなります。
- 要件の背景(なぜ作るか)を理解した上で設計できる
- 工数見積もりや優先順位に意見が出せる
- 成果に対する評価がダイレクトに返ってくる
これは単価だけでなく、市場価値の上昇にも直結します。
【注意点】「直請けなら全て良し」ではない理由
直案件は「楽に高単価」ではなく、高単価になる理由があります。典型的な注意点を3つ押さえておきましょう。
1. 技術力+αのスキルが求められる
特にエンド直では「言われた通り作る」だけだと評価されにくいです。
- 提案力(代替案・コスト削減・品質改善)
- 自走力(曖昧さを潰して前に進める)
- 期待値調整(スコープ・優先度の整理)
一方、元請直では技術に加えて、プロジェクトの型に適応する力が重要です。
- ドキュメント、レビュー、報告の品質
- 複数ベンダーとの調整・合意形成
- ルール遵守(セキュリティ、手順、監査対応)
2. 契約と責任が重くなる(カットもシビア)
商流が浅いほど、あなたの価値が直接評価されます。成果が出ない場合、契約終了の判断が早いこともあります。
完全直契約の場合は、契約書確認・請求・トラブル対応も自分で抱える点に注意が必要です。
3. 教育体制は期待しない
直案件は即戦力前提が多く、オンボーディングが薄い現場もあります。
「教えてもらう」より「取りに行く」前提で準備しましょう。
高単価な直案件を獲得するための判断基準
1. スキルシートは「役割と成果」で書く
単なる言語・FW羅列だと、上位商流に刺さりません。次を必ず入れます。
- 課題 → 施策 → 結果(数字があると強い)
- 誰と何を合意し、どう前に進めたか(調整力)
- 参画ポジション(要件・設計・リードなど)
2. 商流の透明性が高い窓口を選ぶ
面談時に、以下をそのまま聞いてOKです。
- 「この案件の商流図(エンド・元請・御社・私)を教えてください」
- 「御社は元請直ですか?それとも二次ですか?」
- 「面談は最終的に誰と何回ですか?」
即答できない・濁す場合は、商流が深い可能性が高いです。
3. “直”の定義を自分側で固定する
おすすめは、意思決定として次の基準にすることです。
直案件=エンド直 / 元請直 / エージェント1社まで
まとめ
商流を浅くすることは、報酬アップの最も確実な近道です。しかし、そこにはプロとしての責任と自走力が求められます。
FreelanceBoxでは、エンド直・元請直の案件を中心に紹介しています。まずは自分の市場価値を確かめることから始めてみてください。
よくある質問
Qエンド直と元請直の違いは?
エンド直は事業会社(ユーザー企業)との契約、元請直はプライムベンダー(SIer等)との契約です。文化や求められるスキルが異なります。
Q商流が浅いと単価はどれくらい上がりますか?
間に挟まる企業が減るため、同等の業務でも月10〜20万円、年収で100〜200万円変わる可能性があります。
Q未経験でも直請け案件に入れますか?
即戦力が求められるためハードルは高いですが、ポテンシャル採用のある元請け案件であれば可能性はあります。
Qエージェント経由でも「直」と言えますか?
エンドまたは元請からエージェント1社のみを挟む場合は「実質直」とされ、メリットを享受しやすい形態です。
Q自分でエンド営業をすべきですか?
営業工数や契約リスクを考えると、信頼できる直請けに強いエージェントを利用する方が効率的な場合が多いです。