
「現場での評価は高いのに、単価が上がらない」
「同じ業務内容なのに、隣の席のエンジニアの方が報酬が高い」
もしあなたが今、このような疑問を抱えているなら、その原因はあなたのスキル不足ではなく、「商流(しょうりゅう)」の深さにあるかもしれません。
IT業界、特にSESやフリーランスの世界において、商流の理解は技術力と同じくらい重要です。なぜなら、商流における「立ち位置」が一つ変わるだけで、月額単価が10万円以上、年収にして100万円単位の差がつくことが珍しくないからです。
この記事では、ITフリーランスが必ず知っておくべき「商流の仕組み」と、多重下請け構造が単価に与える影響、そして損をしないための案件選びのポイントを実務視点で解説します。
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IT業界における「商流」とは何か?
「商流」とは、仕事(とお金)が流れる経路のことを指します。
発注元であるクライアント(エンド企業)からスタートし、実際に作業を行うエンジニアに届くまでに、いくつの企業を経由しているかを表す言葉です。
「商流が深い」とはどういう状態か
IT業界では、以下のような構造が一般的です。
- エンド企業(発注元): システム開発を依頼する事業会社など。
- 元請け(プライム): エンド企業から直接仕事を受注する大手SIerやベンダー。
- 二次請け: 元請けから業務の一部を再委託される開発会社やエージェント。
- 三次請け: 二次請けからさらに要員調達を依頼されるSES企業など。
- エンジニア(あなた): 実際に開発を行う個人。
あなたの契約先が「エンド企業」や「元請け」であれば商流は浅いと言い、間に何社も挟まっていれば商流は深いと言います。
なぜIT業界では多重下請け構造が生まれるのか
なぜ、直接契約せずにこれほど多くの企業が介在するのでしょうか? 主な理由は以下の3点です。
- リスク分散: 大規模開発において、元請け1社ですべての責任と雇用を負うのはリスクが高いため。
- 要員調達力: 必要な時期に、必要なスキルのエンジニアを数百名単位で集めるには、多数の協力会社(SES)のネットワークが必要不可欠だからです。
- 口座開設の壁: 大手企業(エンド)は、個人のフリーランスや小規模な会社と直接取引口座を開かないケースが多く、信頼のある大手SIerを窓口にする必要があります。
【図解】多重構造がエンジニア単価を削る仕組み
商流が深くなると、当然ながら各階層で手数料(マージン)が発生します。いわゆる「中抜き」です。具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。
エンド発注80万円の案件が、手元で50万円になるまで
エンド企業が「エンジニア1人月あたり80万円」の予算を出したとします。
- エンド発注額: 80万円
- ↓(元請けへ発注)
- 元請け(一次請け): マージン15%(12万円)を控除
- 残り予算:68万円
- ↓(二次請けへ発注)
- 二次請け(SES/エージェント): マージン15%(約10万円)を控除
- 残り予算:58万円
- ↓(所属会社/三次請けへ発注)
- 三次請け: マージン15%(約8万円)を控除
- あなたの手取り: 50万円
このように、商流が深くなるたびに予算は削られていきます。
もしあなたが**「元請け直」**のエージェント経由で参画していれば、68万円前後の単価で契約できていたかもしれません。同じ仕事、同じスキルでも、商流が違うだけで月18万円の差が生まれるのです。
「中抜き」は悪なのか?
「中抜き=悪」と捉えられがちですが、介在する企業にも役割はあります。
営業コストの代行、契約事務、支払いサイトの保証(エンドからの入金が遅れても、エンジニアには期日通り支払うなど)は、中間業者がリスクを負っています。
問題なのは、「右から左へ流すだけで何も管理していない企業」が何社も挟まり、不当に単価が下げられているケースです。フリーランスとしては、不要な商流をカットし、付加価値のあるエージェントを選ぶことが重要です。
商流ごとの特徴と単価・難易度の比較
では、常に「商流が浅い」ことが正解なのでしょうか?それぞれの特徴を整理します。
| 特徴 | エンド直・元請け直(浅い) | 二次請け・三次請け(深い) |
|---|---|---|
| 単価感 | 高単価(還元率が高い) | 低め(マージンが多重発生) |
| 情報の透明性 | 高い(現場の状況が伝わりやすい) | 低い(伝言ゲームになりがち) |
| 求められるスキル | 即戦力・自走力が必須 | 未経験・ロースキルでも入れる枠がある |
| 面談回数 | 1回〜2回 | 2回〜3回(顔合わせが増える) |
| 商流制限 | 少ない | 厳しい場合が多い |
エンド直・元請け直のメリット
最大のメリットはやはり単価です。また、現場の決裁者と距離が近いため、提案が通りやすかったり、リモートワークなどの条件交渉がしやすい傾向にあります。
商流が深い案件の使いどころ
経験が浅い時期や、新しい技術スタックに挑戦したい場合は、あえて商流が深い案件(=元請けが大量募集している下流工程など)を選び、実績作りを優先する戦略も有効です。
損をしないために。商流の深さを見抜く3つの確認ポイント
案件を探す際、その案件の商流がどうなっているかを必ず確認しましょう。以下のポイントを押さえるだけで、ミスマッチを防げます。
1. エージェントへの質問テクニック「御社の立ち位置は?」
案件紹介を受ける際、担当者にストレートに聞いてください。
「この案件における、御社の商流上の立ち位置(プライム、二次など)を教えていただけますか?」
信頼できるエージェントであれば、「今回は弊社がエンド企業と直接契約しています」や「弊社は二次請けになりますが、元請けとは太いパイプがあります」と明確に回答してくれます。ここを濁す場合は注意が必要です。
2. 面談回数で見抜く
一般的に、商流が深くなればなるほど面談(顔合わせ)の回数は増えます。
- 自社(エージェント)との面談
- 上位会社との面談(顔合わせ)
- エンド企業との面談
このように「顔合わせ」と称する面談が複数回ある場合は、間に多くの会社が挟まっているサインです。**「面談は原則1回(エンドのみ)」**という案件は、商流が浅い証拠と言えます。
3. 「商流制限」の有無
契約書や募集要項に「商流制限あり」と書かれている場合、それは「これ以上下の商流には発注できない(=再委託禁止)」という意味です。
これは一見制限に見えますが、裏を返せば**「その会社がエンドまたは元請けに近い位置にいる」**ことの証明でもあります。
まとめ:商流を意識して「手取り」を最大化しよう
フリーランスとして長く活躍するためには、技術力を磨くだけでなく、**「自分のスキルが適正な価格で取引される場所(商流)」**を選ぶ力が不可欠です。
- 商流が深いと、マージンで単価が大きく目減りする。
- 商流を浅くするだけで、年収が100万円以上上がる可能性がある。
- エージェントには必ず「立ち位置」を確認する。
もし現在の単価に不満があるなら、一度案件の商流を見直してみてください。「スキル不足」ではなく、単に「場所が悪かっただけ」というケースは多々あります。
FreelanceBoxでは、エンド直・元請け直を中心とした**「商流の浅い案件」**を厳選してご紹介しています。
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まずは適正な市場価値を確認するための相談から始めてみませんか?
よくある質問
Q商流が深い案件はすべて避けるべきですか?
必ずしもそうではありません。未経験技術への挑戦や、特定の有名プロジェクトに関わりたい場合は、入り口として利用する価値があります。
Qエージェントに商流を聞くと嫌がられますか?
プロのエンジニアとして当然の質問です。嫌がる・隠すエージェントは信頼性に欠けるため、取引を避けたほうが無難です。
Q「商流飛ばし」とは何ですか?
契約中の商流(仲介会社)を無視して、エンド企業と直接契約を結ぼうとする行為です。業界のタブーであり、損害賠償に発展するリスクがあります。
Qエンド直案件はスキルが高くないと無理ですか?
高いスキルが好まれますが、コミュニケーション力や業務知識があれば、若手(実務3年程度〜)でも参画可能な案件は多数あります。
Qインボイス制度は商流に影響しますか?
影響します。免税事業者の場合、商流の深い案件では消費税分の値下げ交渉をされやすくなる傾向にあります。